虎ノ門ニュース

ECRA/エクラの動向について

先日の虎の門ニュースの中で藤井厳喜氏の解説があったエクラ(ECRA)について安全保障貿易センター(CISTEC)にて2019年3月19日に開設された一般サービスの「米中の新輸出規制等の動向」のページに情報が詳しく載っていたので、わかる範囲でまとめます。
詳細はリンクを張っておきますのでそちらをご確認ください。
リンク: 「米中の新輸出規制等の動向」

以下
CISTEC 調査研究部 次長(国際担当) 田上 靖 氏のレポート「米国輸出管理改革法の新基本技術(Emerging and Foundational Technologies)新規制 及び CISTEC パブコメの概要」から抜粋、引用、要点のまとめをします。個人的な注釈の箇所には” ”をつけます。正確な内容は上記のリンクからご確認ください。

はじめに

2018 年 8 月 13 日付で施行された
米国国防権限法 2019の中の米国輸出管理改革法(ECRA)において、
新基本技術(Emerging and Foundational Technologies)を
米国 輸出管理規則(EAR)で
具体的に規定し、規制するべき旨が規定された。

”この新規制の背景・理由は、これまで国家の資本によって国家主導で行われてきた重要技術の研究が民間に移転してきているので、重要技術が輸出管理規制をかける、前に様々な方法で海外に流出しているので早めに輸出規制をかける必要が出てきた。”

”そのため、輸出管理当局は、新基本技術を早期に特定し、実効的な規制を行うために新たな規制の法律を作った”

1. 米国輸出管理改革法における「新基本技術」の新規制

1.1. 新基本技術の特定 ”何が新技術と基幹技術なのかを決めるやり方”
”アメリカの大統領は関係各所と連携してアメリカの安全保障に必要不可欠な新基本技術(Emerging and Foundational Technologies)を決めて(特定して)、事前に公表し、その内容が良いか悪いかの意見を公募(パブリックコメントの募集)しなければならない。

1.2. 新基本技術の規制内容
(1)商務長官は、上記により特定された新基本技術 (Emerging and Foundational Technologies)の輸出、再輸出、国内移転の規制を、米国輸出管理規則(EAR)において、規 定しなければならない。

(2)上記規制においては、少なくとも、新基本技術(Emerging and Foundational Technologies) の米国の禁輸国(中国等の武器禁輸国を含む)への輸出、再輸出、米国禁輸国内移転につき、 許可必要としなければならない。
”→たぶんアメリカで研究された 新基本技術 (新技術と基幹技術)がアメリカと敵対する国(中国等の武器禁輸国を含む禁輸国)に渡ることが想定される場合、アメリカの許可が必要になるということ”

1.3.特定された新基本技術の規制の国際輸出管理レジームへの提案義務
(1)国務長官は、商務長官、国防長官、その他の必要な省庁の長官と協議して、上記により特 定された新基本技術(Emerging and Foundational Technologies)を、関連する輸出管理国際 レジームの規制リストに加えることを提案しなければならない。
” →国務長官 (日本の外務大臣に相当する人)は新基本技術 の輸出規制について各国が協力して安全保障貿易管理に関する取り決めを行えるように、国連とかG20とかG7とかで提案しなければいけない”

(2)関連する輸出管理国際レジームが、上記提案後 3 年以内に、当該新基本技術(Emerging and Foundational Technologies)を規制リストに加えることに同意しない場合、その所管官庁は、国家安全保障上の観点から、米国のみが当該新基本技術を規制リストに含めて規制す ることを継続するべきかどうかを決定しなければならない。
”→国際的合意が上記の提案から3年以内に得られなければ、アメリカのみで規制を行うかどうか決めなければならない”

2. 新興技術の特定方法・規制方針及びカテゴリーの公表

2.1. パブリックコメント(パブコメ)募集の趣旨・対象・今後の予定
まず、今回は、規制される新興技術(Emerging Technologies)自体ではなく、
今後、公表し、 規制する新興技術(Emerging Technologies)のカテゴリー及び新興技術の特定方法の公表並び にそのパブコメ募集であり、
今回のパブコメ募集結果を踏まえ、規制される新興技術(Emerging Technologies)自体の案が公表され、再度、その案につき、パブコメが募集される予定である。
上記の Federal Register (米国官報)上の通知のタイトルに、Advance notice of proposed rulemaking (ANPRM)(規則案策定のための事前通知)と記載されているのは、そのためである。
また、今回のパブコメ募集は、米国輸出管理改革法(ECRA) で規制されている Emerging and Foundational Technologies(新基本技術)の内の、Emerging Technologies(新興技術)だけにつ いてのパブコメ募集であり、米国国家安全保障上重要な Foundational Technologies(基本技 術)については、別途、そのカテゴリーを ANPRM として公表してパブコメを募集する予定との ことである。
”→要するに、今回は初めてのことなので、「今後どんなカテゴリーの新興技術を規制するか」と「どのように何が新興技術であるかを決める方法」について決めたので意見を募集します。意見の結果を踏まえて、規制される新興技術の案を出すので、その都度意見ください。あと、アメリカの閣下安全保障上重要な基本技術については別途「 ANPRM (アメリカ・法案の事前公告 ) 」として公表するので意見ください。ということかな?”

2.2. 新興技術(Emerging Technologies)の規制方針
上記の Federal Register (米国官報)上の通知において、以下の規制方針が明記された。 (1) 新興技術(Emerging Technologies)は、米国輸出管理規則(EAR)の規制品目リスト (Commerce Control List: CCL)において、規定され、新たな輸出管理分類番号(ECCN)が付 与される。
”→ 新興技術は米国輸出管理規則(EAR)の規制品目リスト内で分類されます”

(2) EAR 対象(米国原産等)の新基本技術(Emerging and Foundational Technologies)の米国禁 輸国(中国等の武器禁輸国を含む)への輸出、再輸出、米国禁輸国内移転について、許可が 必要になる。米国禁輸国以外の国向けについては、リスト規制はかからないが、エンドユ ース・エンドユーザー規制(キャッチオール規制)の一般要件は適用される。 本規制概要図は、別紙 1 に記載の通り(「技術」の規制を対象としたものであるが、「貨物」 「ソフトウェア」に拡大可能性がある)。
”→アメリカ発の新基本技術がアメリカに敵対的な国(アメリカの禁輸国)にアメリカ本国からはもちろん、友好的な同盟国からも渡るようなまねはしてはいけません。”

http://www.cistec.or.jp/service/uschina/2-1-besshi.pdf

2.3. 新興技術(Emerging Technologies)のカテゴリー
パブコメで例示として示されたのは、以下の通りである。ここから増減があり得る。

(1)バイオテクノロジー(Biotechnology)
・ナノバイオロジー(Nanobiology)
・合成生物学(Synthetic biology)
・遺伝子工学(Genomic and genetic engineering)
・神経工学(Neurotech)

(2)AI・機械学習(Artificial intelligence (AI) and machine learning technology)
・ニューラルネットワーク・ディープラーニング(Neural networks and deep learning (e.g., brain modelling, time series prediction, classification))
・進化的・遺伝的コンピューティング(Evolution and genetic computation (e.g., genetic algorithms, genetic programming))
・強化学習(Reinforcement learning)
・コンピュータビジョン(Computer vision (e.g., object recognition, image 5 understanding))
・エキスパートシステム(Expert systems (e.g., decision support systems, teaching systems))
・音声・音響処理(Speech and audio processing (e.g., speech recognition and production))
・自然言語処理(Natural language processing (e.g., machine translation))
・プランニング(Planning (e.g., scheduling, game playing))
・オーディオ・ビデオ操作技術(Audio and video manipulation technologies (e.g. voice cloning, deepfakes))
・AIクラウド技術(AI cloud technologies)
・AIチップセット(AI chipsets)
(3)測位技術(Position, Navigation, and Timing (PNT) technology)
(4)マイクロプロセッサー(Microprocessor technology)
・SoC(Systems-on-Chip (SoC))
・チップ上スタックメモリ(Stacked Memory on Chip)
(5)先進コンピューティング(Advanced computing technology)
・メモリ集約型論理(Memory-centric logic)
(6)データ分析(Data analytics technology)
・視覚化(Visualization)
・自動分析アルゴリズム(Automated analysis algorithms)
・文脈把握コンピューティング(Context-aware computing)
(7)量子情報・量子センシング(Quantum information and sensing technology)
・量子コンピューティング(Quantum computing)
・量子暗号(Quantum encryption)
・量子センシング(Quantum sensing)
(8)補給関連技術(Logistics technology)
・携帯電力(Mobile electric power)
・モデリング・シミュレーション(Modeling and simulation)
・総資産可視化(Total asset visibility)
・DBLS(Distribution-based Logistics Systems (DBLS))
(9)付加製造技術(Additive manufacturing (e.g. 3D printing))
(10)ロボティクス(Robotics)
・マイクロドローン・ロボティクスシステム(Micro-drone and micro-robotic systems)
・群制御技術(Swarming technology)
・自己集合ロボット(Self-assembling robots)
・分子ロボット(Molecular robotics)
・ロボットコンパイラ装置(Robot compliers)
・スマートダスト(Smart Dust)
(11)ブレインコンピュータインターフェース(Brain-computer interfaces)
・ニューラルコントロールインターフェース(Neural-controlled interfaces)
・マインドマシンインターフェース(Mind-machine interfaces)
・DNI(Direct neural interfaces)
・ブレインマシンインターフェース(Brain-machine interfaces)
(12)極超音速(Hypersonics)
・飛行制御アルゴリズム(Flight control algorithms)
・推進技術(Propulsion technologies)
・熱防御システム(Thermal protection systems )
・特殊素材(Specialized materials (for structures, sensors, etc.))
(13)先端材料(Advanced Materials)
・適応迷彩(Adaptive camouflage)
・機能性繊維(Functional textiles (e.g., advanced fiber and fabric technology))
・バイオ素材(Biomaterials)
(14)先進セキュリティ技術(Advanced surveillance technologies)
・顔認証、声紋認証技術(Faceprint and voiceprint technologies)

以上引用と個人的注釈終わり。

【個人的感想】

アメリカさん完全に中国とヤル気ですね。こわいこわい。

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