哲学

【書籍紹介】国民の修身 渡部昇一氏

面白い本を見つけたので紹介いたします。
戦前の修身の教科書を渡部昇一さんが当時の文体と現代語訳を合わせて書かれたのが国民の修身という本です。
元となった教科書は戦前の小学生が良い大人になるために学校で教えられていたものです。
戦前の教育で特に考え方にかかわる部分を教える事柄となると極端に勇ましく重苦しい内容をイメージされるかもしれませんが、ほとんど当たり前の善行を行うように書かれています。
たとえば、両親は大切にしなさいとか、辛抱強く物事に当たりなさいとか、良心に従って行動しなさいとかそういった内容が小話とともに挿絵つきで書かれています。
たとえば、高学年用の国民の修身で当時の小学5年生に教えられていた博愛の項目を抜き出すとこうです。

 

 紀伊の水夫・虎吉らは、ミカンを船に積んで江戸に行き、その帰り途で暴風にあいました。船は山のような大波に揺られて、遠くのほうに吹き流され、2ヶ月ばかりも大洋の中を漂いました。その間に、食べ物も飲料水も無くなって大そう難儀をしました。

 ある日、ちょうど通り合わせたアメリカ合衆国の捕鯨船が虎吉らを見つけて救い上げ、パンなどを与えて、親切に労わりました。船長がどこのものか訊いたが、言葉が通じないので、地図を出して見せて、やっと紀伊の人ということがわかりました。それから、この船は北の方へ鯨とりに行き、半年ばかり経って、帰りに船長は便船に頼んで寅吉らを香港まで送り届けました。そこには仕立屋をしている日本人があって親切に世話をし、フランスの船に頼んで上海まで送ってくれました。それから、虎吉らは支那の役人の保護を受け、便船に乗ってやっと我が国に帰ることができました。郷里では3年も便りがないから、死んだことと思っていたところへ、無事に帰ってきたので夢かとばかり喜びました。

 知っている人も知らない人も博く愛するのが人間の道であります。いろいろ災難にあって困っている者を救うのはもちろん、たとえ敵でも、負傷したり、病気になったりして苦しんでいる者を助けるのは、博愛の道です。明治37年、八年戦役(日露戦争)に上村艦隊が敵の軍艦リューリクを打ち沈めた時、敵の溺れ死のうとする者を600余人も救い上げたのは、名高い美談であります。

国民の修身 高学年用 p104 博愛

実に国際的で心温まる話です。戦前は反米的で鬼畜米英とか叫んでいそうなイメージですが、かなり親米的でフランスや中国とも友好的な印象です。
この話を読めば、大東亜戦争時の1942年に帝国海軍の工藤俊作艦長が駆逐艦「雷」にてスラバヤ沖海戦で撃沈されたイギリスの漂流乗員422名の救助を行った美談も納得です。何せ、工藤艦長は小学生のころ、この教科書で学んで軍人になったんでしょうから。

その他にも子供に聞かせればきっと良い子に育つだろうと思えるような内容がたくさん乗っています。

もし、子供にどんなことを言って聞かせればよいのか、昨今の無秩序に騒がれる自由と権利の話を聞いていて何が良くて何が悪いのかわからなくなった方は手にとって読まれると解決の糸口が見つかるのでは思います。

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