経済

【上念司氏、ケント・ギルバート氏】 米通商代表 関税10日に引き上げ表明 対中国【虎ノ門ニュース】

【居島氏導入】

[米通商代表 関税10日に引き上げ表明 対中国 ]
日本経済新聞の記事を一部割愛してお伝えします。
米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は6日、2千億ドル分(日本円にして約22兆円)の中国製品に対する制裁関税を10日に現在の10%から25%に引き上げると表明しました。同氏は交渉の過程で中国が「約束を破っている」と非難したということです。一方、9~10日に閣僚級の協議を開くとしており、実際に発動するかは中国の出方次第となります。 米中交渉の責任者を務めるライトハイザー氏とムニューシン財務長官が記者団に述べたということで、関税の引き上げは米東部時間10日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に設定しています。ムニューシン氏は「米国の交渉団は10日までに合意できなければ米国が関税(引き上げ)を進めるようトランプ大統領に進言することで一致している」と説明。一方で「中国が態度を変えればトランプ氏に報告する」と述べ、米国側の行動の見直しに含みも持たせています。

[NY株急落 473ドル安 米中貿易摩擦を懸念 ]
行動通信によりますと7日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、米中貿易摩擦の深刻化への懸念から急落し、前日比473.39ドル安の2万5965.09ドルで取引を終えました。下げ幅は1月3日以来約4カ月ぶりの大きさで、一時650ドルに迫ったということです。7日の東京市場では日経平均株価が大幅続落し、欧州市場でも主要株式指数が軒並み下落しました。二大経済国である米中の貿易協議を巡る混乱が、世界同時株安を招いた形です。トランプ米大統領が5日、中国からの輸入品に対する追加関税を引き上げると表明。ライトハイザー米通商代表も6日、準備に入ったと説明しました。

【上念司氏、ケント・ギルバート氏解説】

[ケント・ギルバート氏]
どういうことかといいますと、中国とアメリカが交渉する中で9割が合意できていました。そして、最後の詰めのために中国の交渉団がワシントンに来て「最後の交渉をしましょう」ということでした。
しかし、交渉は副首相の劉鶴氏が習近平主席に相談せずに交渉を進めたものでした。そして交渉結果を見た習近平 主席は中国にとって不利になると考え、「これではだめだ」と言ってしまったらしいです。
なぜ、だめだと習近平主席が言ったのかというと、習近平主席は中国の中で、経済の悪化の全責任が習主席にあることになっているので、アメリカとの交渉に合意し、批判が増えることを恐れたためです。
これを受けてトランプ大統領は激怒しました。結局決まっていたことが、決まらなくなった、しかも中国の交渉団がアメリカに来ないと発表しました。結局(トランプ大統領の関税を上げるとのTwitterを受けて) 劉鶴 副首相と交渉団はワシントンに来ることにしたみたいですけど 、交渉団が来て1日で決定ができればいいんですけど決定できなければ関税を25%に上げるようです。
上念さん、あまり報道されないんですけど、アメリカの財界の株で儲かっている一部がこれ(関税を25%に上げること)をかなり反対していますが、普通のアメリカ人は大喜びですよ。(一般のアメリカ人は)関税10%どころか25%すばらしい、それでもだめなら50%にしろといった具合です。さらに、民主党までもが(この件について)トランプ大統領をほめています。
ところが、たとえばアップルなんかは売り上げの20%は中国ですから、かなりの打撃です。
しかし、昨日(2019/5/7)1.5%しか下がってないし、株価が600ドル下がったとはいえ、株価が29000ドルの時の600ドルと昔の10000ドルの時の600ドルとではパーセンテージで言えば3分の1ですから結局1%ぐらいしか下がっていませんから、大した事ないかなという評論家もいますが 上念さんはどう見ますか。
[上念氏]
株の話で言うと、アメリカ株は年末に米中貿易戦争というよりはパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長 の暴走によって、ものすごい下がったわけです。その時何千ドルって下がって、ここ最近下げる時を取り戻していました。今回は一回下がって、上がった所からの600ドル安なんで、そういう意味で言うと、年末の下がりきったころからのマイナスではないので(大きな問題ではない)とケントさんが仰るのはその通りだと思います。
[ケント・ギルバート氏]
私は25%の関税をかけてもこのくらい(1.5%)しか下がらないという事はよっぽど(景気が)いいのでもないかと思いますが、どうでしょう?
[上念氏]
一応理由を説明している、記事がありました。
ブルームバーグの記事でアメリカのこれまでの関税を適用する品目は一応全体の半分くらいです。それで、適用する品目は練られてるみたいなんです。
何をかけようか、どれをかけようか結構練られていて、どういうものに掛けられているかと言うと、大代替性の高いものです。
つまり、チャイナから買わなくても他から買えるものに関税を掛けています。そうすると、チャイナ企業はどうなるかというと25%関税掛けられて、他に顧客が逃げちゃうと困ります。
なので、実は一方的にチャイナの会社が値引きをしてこの関税を負担しているんじゃないかといわれています。
なぜそのようなことが言えるのかというと、根拠として関税を掛けられている商品の価格上昇率を見ると、関税を10%とか25%とか掛けられてる割には数%しか上がっていません。
これ(価格上昇率と関税の差分)は誰がかぶってるのかを考えると、チャイナの企業がかぶっているか、もうひとつ考えられるのは為替です。人民元が安く振れているので、人民元が安く振れているのとチャイナの会社が値引きしているのでそれで(価格上昇率と関税の差分)をかぶってるのではないかという記事が出てました。
しかし、これから、もし包括的に関税を掛けるとなると、代替が効かない商品にまで関税がかかってくるので、そうするとアメリカの消費者の負担もちょっと出てくる可能性はあります。
[ケント・ギルバート氏]
今、中国製の洗濯機を買うと200ドルくらい高いそうです。関税の関係ですね。
それを不満に思っている消費者は中にはいるんですけど、 (株関連の人間以外)ほとんどの国民はこれ(関税)を支持しています。
[上念氏]
もうひとつ大事なのは、今の話(洗濯機)は買い手側です。要はチャイナの製品が高いから買わないて需要側ですよね。今度は供給側の方の事情を考えてみるとチャイナで物作ると関税が掛かってしまう訳です。だからチャイナで物作るのやめようって思ってサプライチェーンをどんどんチャイナからはずしています。一回チャイナを商流からはずしてしまうと、もう一度、商流に乗せるのはすごく時間がかかるんですよ。今回の貿易交渉で、ころころそれ(関税)が変わったらサプライチェーンをせっかく外してる企業が(チャイナに)戻ったら、アメリカにとって不都合なので、この交渉は決裂することがたぶん最初から決まってるんですよ。
元日経新聞の鈴置高史さんにも聞いたんですが、学者とか現場わかってないけど、一回生産ラインあるのに崩して、他のところに組んだら、もうそう簡単には戻れないよということです。
今台湾で総統選挙に出ようとしている鴻海の郭台銘さんはチャイナにかなりサプライチェーンがあるんですけど、今インドに(サプライチェーンを)インドに作ったりしています。共産党とずぶずぶといわれていますが、割と商売にはシビアなんですよ。代替できる様な動きはしてるんですよね。
フォックスフォンの工場をアメリカに作るとかも言っているんで、商売に関してはシビアなんですよ。あんまりチャイナべったりだと鴻海が直接アメリカから制裁される可能性があります。

[個人的感想]

中国に対しての商売はいろいろと考えた方が良さそう。
中国が傾き始めたとするなら猛烈な好条件での中国への企業誘致が始まるだろうから気をつけないといけない。特に先端企業の方はご注意ください。

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